300年前、悪代官によって建てられた神社

有明海に浮かぶ3基の赤鳥居。大魚(おおうお)神社の海中鳥居である。
日本最大級の干満差を誇る有明海に建てられた鳥居だが、干潮時は鳥居を歩いて潜れるものの満潮時は海に沈んでしまう。

訪れた時はちょうど潮が満ちていく時間だったため徐々に海に沈んでいく様子を見ることができた。誰が積んだのか手前の鳥居に石が積まれている。
この海中鳥居がある大魚神社だが、神社が建てられた理由でもある面白い言い伝えが残されている。
約300年前、この地を治めていた悪代官にうんざりした住民たちは有明海に浮かぶ沖ノ島に悪代官を呼び、酒盛りを行なった。悪代官が酔っ払って寝てしまうと住民たちは悪代官を島に置き去りに。悪代官が目を覚ました頃には満ちてくる潮によって島が沈みかけており、焦った悪代官は龍神様に助けを求めた。すると大魚(ナミウオ)が現れ、その背中に乗って無事に帰還することができた。これに感激した悪代官はこの地に神社を建て、それ以来海の安全と豊漁祈願を祈るようになったという。
悪代官は一体何をしたら島に置き去りにされるほど住民に嫌われるのか気になるところだが、それはまた別の話。

この鳥居の先には悪代官が置き去りにされた沖ノ島がある。鳥居自体は30年ごとに建て替えられており、悪代官が建てた神社と鳥居は300年の時を経て現代でも大切にされ、地域の信仰の対象となっている。
海中鳥居の横にある「海中道路」

大魚神社のすぐ隣。
満潮時は海に沈んでしまう道路がある。
干満差の大きい有明海で、干潮時にも満潮時にも荷揚げ作業ができるようにとのことで造られた道路らしく、海苔の収穫時期には漁師さんがこの道を使って荷揚げしているそうだ。

どんどん潮が満ちていく。

電柱の上にミサゴ。ここで狩りをしていた。
船が4隻停泊していたが、満潮時はどうやって乗り込むのだろう。
ちなみに有明海の干満差は最大6m以上だそう。ちなみに太平洋沿岸地域は1〜2m、日本海沿岸で0.2〜0.4mであることを考慮するとその差の大きさに圧倒される。そんな有明海の特殊な自然環境に適応し発展してきた、この地域独自の暮らしを感じることができた。
アクセス
〔鉄道〕
長崎本線多良駅下車後徒歩約10分
〔バス〕
祐徳バス「多良栄町・海中鳥居前」停留所下車後徒歩約3分
〔車〕
佐賀市内から一般道で約1時間10分、長崎市内から同じく一般道で約1時間20分(駐車場有)


