【岡山 峠の廃列車】まるで幽霊列車!?自然に還りゆく鉄道車両

岡山

異世界行き直通列車

片上鉄道とはかつて岡山県の片上駅から柵原駅までを結んでいた鉄道路線で、正式名称は同和鉱業片上鉄道線である。柵原鉱山で採れる硫化鉄鋼を運ぶ目的で開業したものの時代の流れには逆らえず、鉱石輸送が鉄道からトラックへと変わっていったことで経営が悪化し、1991(平成3)年に廃線となった。

そんな片上鉄道を走っていた車両が岡山のとある峠のドライブインに今も保存されており、車内を見学することができる。誰が管理しているのかはわからないがその車内風景は想像を絶するものだった。

開けっぱなしの扉を潜る。

まず目に飛び込んできたのはボロボロの車内だった。

向かって左側の吊り革は本来あるはずの場所にはなく、重さに耐えきれなくなったのか吊り革を吊っている鉄棒もろとも座席の上に落下していた。

吊り革なのに吊られていない。

向かって右側の吊り革はまだ健在だった。よく見ると左側の天井は剥がれ落ちてしまっており、剥がれ落ちた天井とともに吊り革は落下してしまったのかもしれない。しかし剥がれ落ちた天井の板はどこにも見当たらなかった。

剥がれ落ちていないとはいえ右側の天井もボロボロ。

かつて天井に備え付けられていた扇風機のスイッチ。この車両に冷房は付いていなかったようだ。

文字通り網でできた網棚。今時網の網棚は少なくなってしまった。

もはや椅子もこの状態。保存という名の放置をされてから時間が経ったことを静かに物語る。

運転室周辺。埃をかぶってはいるものの機器類は健在だった。

車外には製造年を示す銘板が。

昭和28年といえば日本が戦後の復興に尽力していた頃。この3年後にあの「もはや戦後ではない」という言葉が生まれることになる。そんな時代を支えた車両も今となっては朽ちていく一方である。

車両外観。

さすがに外側は整備されているのか、車内よりもはるかに綺麗な状態だった。この外観から車内の状況を想像するのは不可能に近い。

よーーく見ると色々ズレたブラインドが目に入る。

ちなみに片上鉄道の終点、柵原駅の一駅手前だった旧吉ヶ原駅では実際に片上鉄道を走っていた車両が何両か保存されており、有志の方々による保存運転会が定期的に開催されている。短い距離ではあるが動く当時の車両に乗車することができ、さながら現役の鉄道路線に乗っているかのような体験をすることができる。

動く状態で綺麗に保存されている車両とは対照的ではあるが、自然に還りつつあるのもまた趣深い。この場所を訪れ、感慨に浸ってから定期運転会に参加してみるのも面白いかもしれない。

アクセス

《バス》

宇野バス美作線・赤磐市広域路線バス「菊ヶ峠」停留所下車すぐ

《車》

岡山市内から一般道で約50分

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